【ネタバレ注意】PRIDE
二時間の映画の様に、一気に読み切った。
内海コーチの『PRIDE』
いや〜、興味深く読ませて頂きました。
何故、ここまでこの左腕が下から慕われているのか、多くの支持と共感を集めているのか判ります。
正直言って彼の全盛期は色々あって個人的に野球を離れていた事もあって、第一回のWBCに急遽呼ばれた読売の坊やぐらいのイメージしかなかったんですけど、その空白を埋めてくれる一冊でした。
改めてライオンズに来てくれて有難う❕
そして投手の生き様、その背中を見せ続けてくれた事が投手王国を築きつつあるライオンズにとってどんな貴重な事だった事か。
毀誉褒貶が激しいナベQGMですが、炭谷を喪った代償という表現で語りたくないですが、コレは素晴らしい人選、そして獲得した後の動機づけも、優れたマネジメントでしたね。
甲子園出場辞退と両親の離婚
理不尽な高野連の辞退勧告でセンバツ出場の夢を絶たれ、最後の夏も決勝戦で力尽きる…。
名門・敦賀気比に籍を置くも、内海の野球人生は全然、順風満帆ではない。
悔しさと辛さに満ち溢れた高校球児時代。
父親の大借金と蒸発?借金取りが家に押しかけるとか、昭和のスポ根ドラマみたいな苦労話。当に『艱難汝を玉にす』の典型。
全く並の能力しかなかったと謙遜するが、それが本当なら高校生がドラフト一位で指名される筈がない。
ブレなく夢を追う
経済的には厳しくオリックス一位指名に乗る手もあったと思うが、祖父もプレイしたジャイアンツへの想いを貫く一途さ。
長年の恋人から三行半で知るプロのドライさ
プロテクトされなかった悔しさ無念さはあったろうが、それをバネに新天地で頑張ろうとする前向きさ、その意気込みが逆回転してしまい、結局、投手としての最晩年の活躍の場を少なくしてしまったということもよく分かりました。
後から知る真実。早く内海の勇姿を見たいと回復を祈るしかなかったあの時はもう遠い過去ですね。
FA騒動の最中、炭谷から気遣いの電話があったとか。選手会会長を勤めただけあって、そういうところは抜かりないマメさなんだね、銀仁朗。彼は引退後も安泰でしょう。
恩人たち
堀内の言葉には痺れた。敢えて引用しないですが、引退試合に駆けつけ、名スピーチといえる『贈る言葉』の前に熱い信頼関係を生む、コミュニケーションがあったんですね。
今や好々爺の悪太郎。薄っすら残る投手としての記憶も監督としてのイメージも、脳筋な感じでしたがこんなスマートな方とは誤解してました
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E8%B0%B7%E6%AD%A3%E5%8B%9D
この豪傑としか言いようのない、選手時代からのトラック。内海を通じてライオンズにもイズムが伝わる?
大洋出身ながら、ジャイアンツでこうした地位を築いたのは、確かに能力ある名コーチだったのでしょう。
義理堅さ
納得いくまで野球と向き合えるステージを与えてくれたライオンズへの想い。
ギブ・アンド・テイクの世界なのだから割り切って、またジャイアンツのオファーを掴むという決断だってあった筈ですけど、ライオンズへの感謝を事ある事に口にし、言行一致でライオンズのコーチとして残り続けてくれた義理堅さ。
ライオンズというチームが素晴らしいということもあると思いたいが、素直にリスペクト出来る。
そしてその選択は大正解だと…。
左腕王国誕生へ
左腕の類まれな素材宝庫となったライオンズ。
内海の経験、ナレッジ、投手哲学の移植はかけがえないものとなるだろうし、その実績はコーチ・内海の評価に直結するし、そんな下世話な事より仕事の『やり甲斐』となるだろう。
特に羽田という次世代のモンスターを和製ランディジョンソンに育て上げられるかどうか、ワクワク感しかないと思う。